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五常の徳「仁義礼智信」

※6部に分けてアップしました【五常の徳「仁義礼智信」】を一挙にお送りします。

 

 

五常の徳「仁義礼智信」

 

豊かな人間性を育むことが求められているが、日本の伝統や文化に大きな影響を与えた人と しての道、守るべき徳を説いた儒教の教え「五常の徳」について再確認したい。

 

五常の徳は、孔子、孟子が説いた、仁、義、礼、智の四端(生まれながらに人に具わってい る四つのもの)に、信を加えてまとめられたものである。

 

 

【仁】

仁は人間が守るべき理想の姿である。

自分の生きている役割を理解し、自分を愛すること、 そして身近な人間を愛し、ひいては広く人を愛することである。単純に情け深いのではなく (単なる同情ではなく)、自分には厳しく周囲には寛容に、かつ正義に基づいた慈愛を持っ て接することが大切である。

織田信長にはこの点が欠けており、敵ばかりでなく見方にも非情であった故に、天下統一 ができなかったと言われている。

 

【義】

義とは、人の歩んでいく正しい道のこと。

義をおろそかにすることは、道を踏み外すこと になる。

仁を実践する基本として、義を貫くことが必要である。

本当に人を愛し思いやる生 き方は、勇気を持って正義を貫いてこそ成り立つ

。上杉謙信が「川中島の合戦」のとき、今川・北条側に塩の供給を絶たれた武田信玄に、塩 を自国から供給し、義を貫いた話が有名である。

 

【礼】

人の世に秩序を与える礼儀礼節は、仁を実践する上で大切なことである。

親や目上の人に 礼儀を尽くすこと、自分を謙遜し、相手に敬意を持って接することが礼、場合に応じて自分 を律し、節度を持って行動することが節といえる。

優秀な軍師諸葛孔明を迎える際の「三顧の礼」は三国志の有名な故事である。

 

【智】

智とは、人や物事の善悪を正しく判断する知恵である。

さまざまな経験を積むうちに培っ た知識はやがて変容を遂げ、智となって正しい判断を支える。

より智を高めるには、偏りのない考え方や、物事との接し方に基づいた知識を蓄えることが必要である。

儒教では「中庸」といって、よいバランスを保って生きることが大切とされている。

 

【信】

信とは、心と言葉、行いが一致し、嘘がないことで得られる信頼である。

嘘のために一度 損なわれた信頼を、取り戻すことは難しいことである。

たとえ、仁なる生き方を実践してい ても、人に信頼されないことには社会で生きてはいけない。

信頼は、全ての徳を支えるほど に大切である。

 

 

二宮尊徳は、「五常講」という五常の徳を実践する者であれば、その心を担保に金を貸す 金融の仕組みを作った。この制度は、後の信用組合の原型となった。

 

人にとって大切なこと、それは自分という人間を追究することにあり、いったい自分がど んな人間でどんな生き方をすればいいのかを考えることは、周りの人達にとっても、社会に とっても良い事だと思う。

 

この五常の徳の中には、人に対して持つ心と自分に対して持つ心と外面内面両方一体になっ て人の心は完成するということが書いてあると思う。

 

 

ちなみに、南総里見八犬伝で有名は「八徳」は、五常の徳に、

「忠」(まごころで仕える心)、

「孝」(親孝行、先祖を大切にする心)、

「悌」(仲良くする心)を加えたもので、

さらに

「胆」(動じない心)、

「勇」(やり遂げようとする心)も必要である。